亜鉛と傷の回復〜「ミネラルの知られざる世界(17)」

けがをしたり、手術をしたりした後は、すぐに新しい細胞をつくって、組織を補強しておく必要がある。こうしたからだの修理作業も亜鉛が十分供給されているかどうかで効率が全然違ってくるという。


ウォルター・ポーリィズらが米国ミズーリ大学などで行った実験では、亜鉛のサプリメントによって傷の回復するスピードが約3倍も短縮されると報告されている。同じ種類の手術を受けた患者でも、亜鉛のサプリメントを投与されたグループは平均46日間で傷口が全快したのに、投与をうけていないグループでは約80日を要したということだ。


ポーリィズによれば、手術を受けた直後に患者のからだの亜鉛貯蔵量は急速に落ちこむ。サプリメントで投与する亜鉛に化学的なマーカーをつけて追跡したところ、亜鉛はまず傷口のできた組織に集まり、傷が完全にふさがったあたりで(手術後約100日)からだのほかの部分へ移動していく傾向も認められた。


また、米国ペンシルバニア大学のトーマス・セドラセックは、亜鉛のサプリメントによって、婦人科の手術後の入院期間を2/3まで減らすことができると語っている。「現在のレートで考えると、亜鉛の投与によって入院期間を短縮すれば、患者一人につき4000ドルの医療費を節約できる計算になる。


でも、治療費を安上がりですます以上に重要なのは、予後の回復面でも好ましい効果が期待できることである。亜鉛の投与を受けていない患者では約75%が手術後に傷口が開いてしまうが、亜鉛を投与するとこの確率を20%まで落とすことができる」


やけどをした後には血液中の亜鉛値が1/3まで落ちこんだというデータもあるが、けがややけどをした時には食事からしっかり亜鉛をとれば回復の助けになるだろう。



★丸元淑生氏の著作選「ビタミン・バイブル」

ビタミン・バイブル完全版 ( 著者: アール・ミンデル / 丸元淑生 | 出版社: 小学館 )

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この本にはビタミンやその他栄養素について知りたいことが、ほとんど1冊に網羅されている。それと、病気の症状に応じたビタミンの効能・選び方、どの食品に多く含まれるか、さらにタンパク質(アミノ酸)、脂肪、ミネラルの効能・摂り方までおよそ病気の予防と体調不良時の対処法の案内役として、また健康維持のための指南書として是非お奨めしたい。

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